「パタゴニアって、なんだか『やばい』らしいよ」。
そんな言葉を耳にして、それが良い意味なのか、それとも悪い意味なのか、思わず首をかしげた経験はありませんか?
街を歩けば必ず目にする、あの特徴的な山のロゴ。
暖かくて手放せないフリースジャケットを愛用している方も多いでしょう。
その一方で、「宗教と関係がある?」「着ていると恥ずかしい?」といったネガティブな噂や、「日本だけ値段が高い」という不満の声も聞こえてきます。
この記事では、そんな謎に包まれたアウトドアブランド、パタゴニアの「やばい」と言われる理由を、良い面も悪い面もすべて、徹底的に掘り下げていきます。
統一教会との関係や創業者の死亡説といった衝撃的な噂の真相から、近年の炎上騒動、そして「時代遅れ」という厳しい評価まで、あなたが抱えるあらゆる疑問に答えます。
同時に、なぜこれほどまでに多くの人々を惹きつけてやまないのか、その核心に迫る「やばすぎる」企業理念や製品へのこだわりも解き明かしていきます。
この記事を読み終える頃には、パタゴニアというブランドが持つ多面的な顔を深く理解し、あなた自身の目でその価値を判断できるようになるはずです。
記事のポイント4つ
- ネガティブな噂の真相: 多くの噂(宗教との関係、創業者死亡説)は誤解や事実誤認に基づいているが、近年の「雇い止め訴訟」のように実際に起きている問題も存在する。
- 革新的な企業理念: 「地球を救う」ために創業者が全株式を環境保護団体へ譲渡するなど、利益追求を第一としない姿勢が「やばい(すごい)」と言われる最大の理由。
- 価格と品質のバランス: 日本での価格は割高な傾向にあるが、それは輸送費や為替に加え、徹底した品質管理と環境・労働への配慮というコストが反映された結果でもある。
- 着る人の価値観を映すブランド: パタゴニアを着ることは、単なるファッションではなく、環境問題や社会貢献への意識を示す意思表示となっており、そのイメージが世代や価値観によって評価を二分している。
「パタゴニアがやばい」と言われるネガティブな噂の真相
多くの人を魅了するパタゴニアですが、その人気と比例するように、数々のネガティブな噂や批判も存在します。
「宗教との関係は?」「なぜ炎上しているの?」といった、気になるけれどなかなか人には聞けない疑問の真相を、一つひとつ丁寧に解き明かしていきましょう。
パタゴニアは宗教や統一教会と関係があるの?
結論から言うと、パタゴニアが特定の宗教団体と関係があるという事実は、信頼できる情報源からは一切確認できません。
これは、多くの有名企業が直面する典型的なインターネット上の噂の一つと言えるでしょう。
では、なぜこのような検索キーワードが存在するのでしょうか。
これは、インターネットの仕組みが関係している可能性があります。
誰かが興味本位で「パタゴニア 宗教」と検索すると、その検索履歴がデータとして蓄積されます。
同様の検索が増えると、検索エンジンは「これらの言葉は関連性が高いのかもしれない」と判断し、検索候補(サジェスト)に表示するようになります。
それを見た別の人が「何か関係があるのかも」とさらに検索することで、事実無根の噂があたかも真実であるかのように広まってしまうのです。
パタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナードさんは、自身の哲学や自然観について深く語ることはありますが、それが特定の宗教活動に結びついているという証拠はどこにもありません。
企業の公式な活動を見ても、環境保護や社会貢献が中心であり、宗教的な要素は見当たりません。
したがって、この噂については「事実無根」と判断して良いでしょう。
「買わないでください」キャンペーンの本当の意味とは

「このジャケットを買わないでください(Don’t Buy This Jacket)」。
2011年のブラックフライデー(アメリカの大規模なセール日)に、パタゴニアがニューヨーク・タイムズ紙に掲載したこの広告は、世界中に衝撃を与えました。
自社製品の購入を控えるよう呼びかけるという、前代未聞のキャンペーンです。
もちろん、これは文字通り「買ってほしくない」という意味ではありません。
この広告の真意は、「本当にそれが必要ですか?一度立ち止まって考えてみてください。
そして、もし買うのであれば、一つの製品を修理しながら、長く大切に使ってください」という、大量生産・大量消費社会への強烈なアンチテーゼ(問題提起)でした。
このキャンペーンは、パタゴニアの根幹をなす二つの哲学と深く結びついています。
一つは、「WORN WEAR(新品よりもずっといい)」という考え方です。
パタゴニアは、自社製品の修理サービスを積極的に提供し、古くなった服を買い取って再販するプログラムも展開しています。
一つの服の寿命をわずか9ヶ月延ばすだけで、炭素排出や水の使用量、廃棄物を20〜30%も削減できるというデータもあり、修理して長く着ることこそが最も身近な環境保護活動だと訴えているのです。
もう一つは、製品そのものへの絶対的な自信です。
そもそも、すぐに壊れてしまうような製品であれば、「長く使ってほしい」というメッセージに説得力はありません。
アウトドアの過酷な環境にも耐えうる高い耐久性を備えているからこそ、このような一見すると自社の利益に反するような、しかし極めて誠実なメッセージを発信できるのです。
この「買わないでください」という逆説的なアプローチは、単なる広告ではなく、パタゴニアの企業姿勢そのものを象徴する出来事として、今なお語り継がれています。
パタゴニアの服は恥ずかしい?それとも時代遅れ?

「パタゴニアって、おじさんが着ているイメージがあって、ちょっとダサいかも…」。
特に若い世代の間で、こうした声が聞かれることがあります。
休日に気合を入れてパタゴニアのロゴTシャツを着ているお父さん世代の姿を見て、「自分は着たくないな」と感じる人もいるかもしれません。
この「恥ずかしい」「時代遅れ」という感覚は、一体どこから来るのでしょうか。
この評価は、着る人の世代やファッションに対する価値観によって大きく左右されます。
流行の最先端を追いかける層から見れば、パタゴニアのデザインは確かにベーシックで、刺激的なものではないかもしれません。
しかし、実はパタゴニア自身が「私たちはファッションではない(Unfashionable)」と公言しています。
彼らが目指しているのは、一過性のトレンドに流される服ではなく、何年経っても色褪せない機能美と耐久性を備えた「道具」としての衣類です。
この姿勢は、30代から50代の、本質的な価値を求める大人層から絶大な支持を得ています。
「流行り廃りに関係なく長く着られる」「野暮ったいけど、どこか愛らしい」といった声に代表されるように、彼らにとってパタゴニアは、品質と信頼、そして環境への配慮という価値観の象徴なのです。
つまり、パタゴニアが「時代遅れ」に見えるかどうかは、その人が服に何を求めているかの裏返しと言えます。
一時の流行を追い求めるのではなく、一つのものを長く大切にしたいと考える人にとって、パタゴニアは決して時代遅れではなく、むしろ時代を超えた価値を持つブランドとして映るのです。
日本での価格は本当に高いのか海外と比較して検証
「パタゴニアは好きだけど、日本だと高すぎる…」。
多くのファンが抱えるこの悩みは、残念ながら事実です。
パタゴニアの製品は、アメリカ本国などの海外市場と比較して、日本での販売価格は高く設定されている傾向にあります。
例えば、人気製品でその価格差を見てみましょう。
| 製品名 | 米国価格 | 日本円換算* | 日本国内定価 | 価格差 |
|---|---|---|---|---|
| メンズ・クラシック・レトロX・ジャケット | $229 | 約34,350円 | 42,900円 | +約8,550円 |
| メンズ・バギーズ・ロング 7インチ | $65 | 約9,750円 | 9,900円 | +約150円 |
*1ドル=150円で換算。
価格は一例であり変動する場合があります。
このように、製品によっては1万円近い価格差が生まれることもあります。
では、なぜこのような「内外価格差」が生まれるのでしょうか。
主な理由は、以下の4つです。
- 関税・輸入消費税: 海外から衣料品を輸入する際には、関税と輸入消費税という税金がかかります。
これらは商品の価格だけでなく、輸送費や保険料を含めた合計金額(CIF価格)に対して課されるため、コストを押し上げる大きな要因となります。 - 輸送費・物流コスト: アメリカから日本までの国際輸送費はもちろん、日本の港や空港に到着してから各店舗や倉庫へ配送するための国内物流費も価格に上乗せされます。
- 為替レートの変動: 近年のように円の価値が下がる「円安」の状況では、同じ1ドルの商品を輸入するためにより多くの円が必要になります。
例えば、1ドル100円の時には100円で済んだものが、1ドル150円になれば150円を支払わなければなりません。
この差額が、そのまま販売価格に影響します。 - ブランド戦略: そもそもパタゴニアは、高品質な素材やフェアトレード(公正な取引)による生産体制を維持するため、世界的に見ても安価なブランドではありません。
このプレミアムな価格設定が、輸入コストの上乗せによって、日本ではさらに割高に感じられる一因となっています。
これらの要因が複雑に絡み合い、日本での販売価格が形成されています。
単に「日本だから高くしている」というわけではなく、輸入ビジネス特有の構造的な問題が背景にあるのです。
過去の炎上事件と現在の「雇い止め」訴訟の行方
パタゴニアは、その明確な企業姿勢ゆえに、時として社会的な論争や「炎上」を引き起こしてきました。
過去には、製品のタグに「クソ野郎を落選させろ(Vote the Assholes Out)」という過激な政治的メッセージを付け、気候変動に否定的な政治家への投票に反対する姿勢を示したことが大きな話題となりました。
また、環境団体から製品に使用される化学物質について批判を受けたこともあります。
そして現在、日本支社はより深刻な問題に直面しています。
それが「雇い止め」訴訟です。
この問題は、パタゴニアの企業倫理そのものが問われる、非常に重要なケースと言えるでしょう。
事の発端は、札幌の直営店で働いていたパート従業員の女性が、有期雇用契約から無期雇用契約に転換できる権利が発生する「5年」を目前にした、勤続4年9ヶ月のタイミングで契約を更新しない「雇い止め」を告げられたことです。
日本では、労働契約法により、同じ職場で5年を超えて働く有期雇用の労働者は、本人が希望すれば無期雇用に転換できる「無期転換ルール」が定められています。
女性側は、この雇い止めがルール逃れの不当なものであるとして、労働組合を結成し、会社を提訴しました。
この訴訟は、環境保護やサプライチェーン(製品の供給網)における労働者の人権を重視するパタゴニアの公的なイメージと、自社の国内従業員の雇用安定を軽視しているのではないかという、深刻な矛盾を浮き彫りにしました。
「地球を救う」という壮大な理念を掲げる企業が、足元の従業員の生活を守れていないのではないか、という批判は当然と言えるでしょう。
この問題は国会でも取り上げられるなど、大きな社会的関心を集めました。
最終的にこの訴訟は、2024年4月に和解が成立しました。
会社側が女性に解決金を支払う形での決着となりましたが、女性の復職は和解条件に含まれていません。
この一件は、パタゴニアがいかに理想的な理念を掲げていようとも、現実の企業活動においては複雑な課題を抱えていることを示す象徴的な出来事として、ブランドの歴史に刻まれることになりました。
創業者の死亡説…一体何があったのか

「パタゴニアの社長が亡くなったらしい」という噂が、インターネット上で時折見られます。
しかし、これは悲しい情報の混同から生まれた誤解です。
パタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナードさんは、ご健在です。
では、なぜこのような噂が広まったのでしょうか。
それは、イヴォン・シュイナードさんの生涯の親友であり、もう一つの偉大なアウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」の創業者であるダグラス・トンプキンスさんが、2015年に亡くなったことに関係しています。
しかも、その事故が起きた場所は、皮肉にもブランド名の由来となった南米の「パタゴニア」地方でした。
2015年12月、ダグラス・トンプキンスさんはチリのヘネラル・カレーラ湖でカヤックを楽しんでいる最中に、強風で転覆。
救助されましたが、重度の低体温症により72歳でこの世を去りました。
そして、この時同じカヤックツアーに参加し、生還したメンバーの中には、親友のイヴォン・シュイナードさんもいたのです。
イヴォン・シュイナードさんとダグラス・トンプキンスさんの友情は、伝説として知られています。
1968年、二人は一台の中古バンにサーフボードと登山道具を詰め込み、アメリカからパタゴニア地方を目指す半年間にも及ぶ旅に出ました。
この旅での経験が、後の「パタゴニア」と「ザ・ノース・フェイス」という二つのブランド設立の原点となったのです。
この旅の様子は、ドキュメンタリー映画『180°SOUTH ワンエイティ・サウス』でも描かれています。
「パタゴニア(ブランド)の創業者」の「親友(ザ・ノース・フェイス創業者)」が、「パタゴニア(地方)」で「事故死」した。
この複雑な事実関係が、いつしか「パタゴニアの創業者が死亡した」という誤った情報として広まってしまったのです。
これは単なるゴシップではなく、二人の偉大な冒険家の人生と、彼らが愛した土地が織りなす、深く、そして少し切ない物語が背景にある噂なのです。
「パタゴニアがやばい」と言われるポジティブな理由と魅力
ネガティブな噂を検証してきましたが、多くの人がパタゴニアに熱狂するのは、それらを補って余りある、常識を覆すような「やばい(すごい)」魅力があるからです。
利益よりも地球を優先する驚くべき経営判断から、多くの人を惹きつける製品の品質まで、そのポジティブな側面を深く探っていきましょう。
「地球を救う」ために会社を譲渡した創業者の企業理念
パタゴニアが「やばい(常軌を逸しているほどすごい)」と言われる最大の理由は、2022年9月に創業者イヴォン・シュイナードさんが下した、前代未聞の経営判断にあります。
それは、自身が保有するパタゴニアの全株式(当時約30億ドル、日本円で約4,400億円相当)を、すべて環境保護活動のために手放すという決断でした。
具体的には、議決権を持つ株式(全体の2%)は、パタゴゴニアの企業理念が未来永劫守られることを目的とした「パタゴニア・パーパス・トラスト」という信託に譲渡。
そして、議決権のない株式(全体の98%)は、気候変動対策や自然保護活動を行う非営利団体「ホールドファスト・コレクティブ」に寄付されました。
これにより、今後パタゴニアが生み出す利益(事業への再投資分を差し引いた、年間約1億ドル)は、すべてこの非営利団体を通じて地球環境を守るために使われることになったのです。
イヴォン・シュイナードさんはこの決断に際して、「地球が私たちの唯一の株主(Earth is now our only shareholder)」という言葉を残しました。
彼はもともとビジネスマンになることを望んでおらず、自身がフォーブス誌の億万長者リストに載ったことに「本当に腹が立った」と語っています。
会社を上場させたり売却したりすれば莫大な富を得られますが、それでは会社の価値観が失われてしまう。
かといって、そのまま経営を続けても、生み出した富を有効に活用できない。
悩んだ末に彼が選んだのが、会社そのものを地球のために活用するという、誰も考えつかなかった第三の道だったのです。
これは単なる巨額の寄付ではありません。
株式会社の目的は「株主の利益を最大化すること」である、という資本主義の根幹を揺るがす挑戦です。
パタゴニアは、利益を追求するのではなく、「故郷である地球を救うためにビジネスを営む」という目的を追求することを、法的な構造をもって宣言したのです。
この常識外れの「やばすぎる」決断こそ、パタゴニアがただのアウトドアブランドではないことを、世界に証明した出来事でした。
パタゴニアを着ている人はどんなイメージを持たれる?

パタゴニアの製品を身につけることは、単に服を着る以上の意味を持つことがあります。
そのロゴは、着る人の価値観やライフスタイルを雄弁に物語る、一種のシンボルとなっているからです。
では、パタゴニアを着ている人は、周囲からどのようなイメージを持たれるのでしょうか。
そのイメージは、見る人の価値観によって多様に変化します。
一般的に持たれやすいポジティブなイメージは、以下のようなものです。
- アウトドアが好き: 本格的な登山やサーフィンを愛好する、アクティブな人物というイメージ。
製品の高い機能性が、その信頼性を裏付けています。 - 環境意識が高い: ブランドの哲学に共感し、サステナブルな消費を心がけている、思慮深い人物というイメージ。
パタゴニアを選ぶこと自体が、環境への配慮を示すメッセージとなります。 - 本物志向: 流行に流されず、品質が高く長く使えるものを大切にする、堅実な人物というイメージ。
製品の耐久性と普遍的なデザインが、この印象を強めています。
一方で、ネガティブな文脈や、少し皮肉を込めて見られることもあります。
- おじさんファッション: 先述の通り、一部の若者からは「お父さんが着る服」と見られ、ファッション感度が低いという印象を持たれることがあります。
- 意識高い系: 環境問題や社会問題への関心をアピールするための道具として着ている、と見なされることも。
ブランドの持つメッセージ性が強いため、そのイメージだけを消費していると捉えられてしまう場合があります。
このように、パタゴニアを着ることは、良くも悪くも「自分はこういう価値観を持つ人間です」という自己表現になり得ます。
それは、パタゴニアが単なる衣料品メーカーではなく、強力な思想と物語を持つブランドへと成長したことの証しと言えるでしょう。
あなたがパタゴニアの服に袖を通すとき、意図せずとも、この複雑なイメージの網の目の中に参加することになるのです。
環境保護への具体的な取り組みとサステナビリティ

パタゴニアの環境保護活動は、「売上の1%を地球に還元する」という有名な誓約だけに留まりません。
それは彼らの活動のほんの一部に過ぎず、ビジネスのあらゆるプロセスにおいて、環境負荷を最小限に抑えるための革新的な取り組みが徹底されています。
- 素材へのこだわり:
- オーガニックコットン: 1990年代、パタゴニアは業界に先駆けて、使用するコットンをすべてオーガニックコットンに切り替えました。
当時は供給網も不安定で、経営的なリスクを伴う大きな決断でしたが、農薬による環境汚染を止めるために断行したのです。 - リサイクル素材: 現在では、製品に使用される素材の多くが、ペットボトルなどから再生されたリサイクル・ポリエステルです。
2025年までには、すべての製品をリサイクル素材か再生可能素材にすることを目標に掲げています。 - ネットプラス: 近年では、海に廃棄された漁網を回収し、リサイクルして作られた「ネットプラス」という新素材を開発。
海洋プラスチック汚染の削減に直接的に貢献しています。
- オーガニックコットン: 1990年代、パタゴニアは業界に先駆けて、使用するコットンをすべてオーガニックコットンに切り替えました。
- 製品寿命の最大化:
- WORN WEAR: 前述の通り、製品の修理と再販を積極的に推進。
一つの服を長く使うことが環境負荷を減らすという考えを、ビジネスモデルの中心に据えています。
- WORN WEAR: 前述の通り、製品の修理と再販を積極的に推進。
- カーボンニュートラルの実現:
- 2025年までに、原材料の調達から製造、輸送、販売に至るすべての事業活動(サプライチェーン全体)において、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を宣言しています。
- 食の分野への挑戦:
- 「パタゴニア プロビジョンズ」という食品事業を立ち上げ、環境再生型農業(土壌を健康にし、大気中の炭素を土に還す農法)で栽培された原材料を使った食品を販売。
衣料品業界だけでなく、環境負荷の大きい食品産業の変革にも取り組んでいます。
- 「パタゴニア プロビジョンズ」という食品事業を立ち上げ、環境再生型農業(土壌を健康にし、大気中の炭素を土に還す農法)で栽培された原材料を使った食品を販売。
多くの企業にとって、サステナビリティはコストや義務と捉えられがちです。
しかしパタゴニアは、環境問題という課題を、新たな技術やビジネスモデルを生み出すための「イノベーションの源泉」と捉えています。
この積極的な姿勢こそが、彼らをサステナビリティ経営の先駆者たらしめているのです。
なぜパタゴニアは政治的なメッセージを発信するのか
「たかが服屋が、なぜ政治に口を出すのか」。
パタゴニアの積極的な政治活動に対して、このような疑問や違和感を抱く人も少なくありません。
選挙の時期になると「VOTE OUR PLANET(私たちの地球に投票しよう)」というキャンペーンを展開し、時には特定の候補者を支持するかのような強いメッセージを発信することもあります。
彼らが政治的なメッセージを発信する理由は、至ってシンプルです。
それは、「故郷である地球を救う」という企業理念を実現するためには、個人の努力や一企業の活動だけでは不十分であり、環境政策を決定する「政治」の力が不可欠だと考えているからです。
健全なビジネスは、健全な地球があってこそ成り立つ。
そして、その健全な地球を脅かすような政策や、環境問題に無関心な政治家が選ばれれば、自社の存続基盤そのものが揺らいでしまう。
だからこそ、彼らは一企業として、市民として、声を上げることを自らの責任だと考えているのです。
その姿勢は、日本の選挙における行動にも表れています。
2019年の参議院議員選挙の際には、投票日に全直営店を臨時休業にしました。
これは、従業員が投票に行き、家族や友人と地球の未来について考える時間を持ってほしいという願いからでした。
これは単なるパフォーマンスではなく、ビジネス上の利益よりも、市民としての責任を優先するという、彼らの価値観を明確に示した行動です。
創業者イヴォン・シュイナードさんは、「僕らが行動しなければ、子供たちの未来と地球環境に無関心な人々の票が政治に反映されてしまう」と語ります。
パタゴニアにとって、政治活動はビジネスから逸脱したものではなく、企業理念を実践するための、最も重要で直接的な手段の一つなのです。
高くても納得!多くの人を魅了する製品の品質とこだわり
ここまでパタゴニアの理念や活動について見てきましたが、多くの人が最終的にパタゴニア製品を選ぶのは、その圧倒的な品質と機能性があるからです。
どれだけ素晴らしい理念を掲げていても、製品そのものに魅力がなければ、これほど長く愛されることはありません。
「価格は高いけれど、それだけの価値がある」と多くの人を納得させる、製品へのこだわりを見ていきましょう。
- 徹底した機能性の追求: パタゴニアのルーツは、創業者自身がクライマーとして必要とした道具作りにあります。
そのため、すべての製品は「見た目」よりも「機能」が最優先されます。
防水性、透湿性、保温性、速乾性など、アウトドアの過酷な現場で命を守るための性能が、一切の妥協なく追求されています。 - 驚異的な耐久性: パタゴニアの製品は、数年どころか10年以上着続けることも珍しくありません。
丈夫な素材選びと堅牢な縫製により、長年の使用にも耐えうるように設計されています。
これは、一つの製品を長く使ってほしいというブランドの哲学を、製品そのもので体現していると言えるでしょう。 - 流行に左右されないデザイン: 「ファッションではない」という姿勢の通り、デザインは常にシンプルで普遍的です。
奇抜な装飾や、その年だけの流行を取り入れることはありません。
だからこそ、何年経っても古臭く感じず、愛着を持って着続けることができます。 - 充実したアフターサービス: パタゴニアは「製品保証」を掲げており、製造上の欠陥や機能上の問題があれば、修理または交換に応じてくれます。
また、長年の使用による摩耗や破損についても、有料で質の高いリペアサービスを提供しており、製品を長く使い続けるためのサポート体制が整っています。
こうした品質へのこだわりは、パタゴニアの代表的な製品に明確に表れています。
| 製品 | 主な特徴 | 素材 | おすすめの用途 |
|---|---|---|---|
| クラシック・レトロX・ジャケット | ・フリースの内側に防風性フィルムを挟み、風を完全にシャットアウト ・内側は吸湿発散性に優れたメッシュで蒸れにくい ・首元まで暖かいスタンドアップカラーでマフラーいらず |
・リサイクル・ポリエステル100%のフリース ・防風性バリヤー |
・日常の防寒着 ・風の強い日のタウンユース |
| バギーズ・ショーツ | ・速乾性に優れたDWR(耐久性撥水)加工済み ・内側にメッシュライナー付きで水着としても使用可能(メンズ) ・水陸両用で使える汎用性の高さが魅力 |
・海から回収された漁網をリサイクルしたネットプラス素材 | ・夏の普段着 ・水辺のアクティビティ、ランニング |
理念だけでなく、製品そのものが持つ確かな価値。
これこそが、多くの人が高い価格を払ってでもパタゴニアを選び続ける、最大の理由なのです。
まとめ:結局パタゴニアは「やばい」のか?
さて、長い旅を経て、私たちはパタゴニアというブランドが持つ様々な顔を見てきました。
では、結論として、パタゴニアは本当に「やばい」のでしょうか。
答えは、間違いなく「イエス」です。
それも、ネガティブな意味でも、ポジティブな意味でも、両方の意味で「やばい」ブランドだと言えるでしょう。
企業の社会的イメージと、実際の労働問題との間に生じた矛盾。
環境保護を訴えながらも、製品を作り、売り続けるという自己撞着。
時に過激とも取れる政治的メッセージで、人々を困惑させる危うさ。
これらは、パタゴニアが抱える「やばい(危うい・問題のある)」側面です。
その一方で、利益を度外視して会社の所有権を地球に譲渡するという、常識を破壊するほどの「やばい(すごい)」決断力。
何十年も前から業界の常識に逆らい、環境負荷の少ない製品作りを追求し続けてきた「やばい(並外れた)」先見性。
そして、それらの理念を裏付ける、圧倒的な品質と耐久性を備えた製品たち。
これらは、他のどのブランドにも真似できない、パタゴニアだけのポジティブな「やばさ」です。
パタゴニアを支持するということは、単に一つの商品を買うということではありません。
それは、この複雑で、矛盾を抱えながらも、世界をより良い方向に変えようと本気で信じ、行動し続ける、一つの壮大な社会実験に参加することを意味します。
その価値をどう判断するかは、この記事を読んでくださった、あなた自身の手に委ねられています。
記事で解説した内容のまとめ
- パタゴニアと宗教・統一教会の関係についての真相
- 「買わないでください」という逆説的な広告に込められた意図
- 世代や価値観で分かれる「恥ずかしい」「時代遅れ」という評価
- 日本の価格が海外より高い理由の徹底検証
- 炎上や「雇い止め」訴訟など、企業が直面する問題点
- 創業者死亡説の背景にある、親友との悲しい物語
- 「地球を救う」という壮大な企業理念と会社の譲渡
- パタゴニアを着る人が持つ多様なイメージ
- 売上1%寄付に留まらない、具体的な環境保護活動
- 企業理念を実現するための政治的メッセージの発信
- 高価格を納得させる製品の圧倒的な品質とこだわり


