いま「カルティエのヴィンテージ」が注目される理由
「王の宝石商、宝石商の王」と称される世界屈指のハイジュエラー、カルティエ(Cartier)。現行のコレクションも素晴らしいですが、近年ファッション感度の高い層から熱狂的な支持を集めているのが「ヴィンテージ・カルティエ」です。
大量生産が難しかった時代の丁寧な手仕事や、現行品にはないクラシカルで温かみのあるデザイン。そして何より「人と被りにくい唯一無二の存在感」が、ヴィンテージならではの大きな魅力です。今回は、カルティエのヴィンテージアクセサリー入門として、絶対に押さえておくべき名品や選び方のポイントを徹底解説します。
ヴィンテージ市場の主役「マスト ドゥ カルティエ(Must de Cartier)」
ヴィンテージ・カルティエを語る上で絶対に外せないのが、1970年代後半に誕生した「マスト ドゥ カルティエ」コレクションです。
「マスト(Must)」には「美を愛する人になくてはならないもの(不可欠なもの)」という意味が込められています。当時、一部の富裕層だけのものだったカルティエの魅力をより多くの人に届けるため、シルバー925に18Kゴールドを厚くコーティングする「ヴェルメイユ技法」が採用されました。これにより、美しいゴールドの輝きを保ちながらも、比較的手の届きやすい価格帯を実現した歴史的コレクションです。
マストタンク(Must Tank)
1977年に誕生したマストラインの時計「マストタンク」。カルティエのアイコンである「タンク」のスクエアデザインを継承し、アイボリー、漆黒のオニキス、鮮やかなボルドー、ラピスラズリのようなブルーなど、非常に多彩な文字盤カラーが展開されました。
約30年間製造されましたが現在は生産終了(廃盤)しており、ヴィンテージショップでしか手に入りません。クラシックでありながら個性を主張できるため、初めてのヴィンテージウォッチとして最もおすすめのモデルです。
マスト ヴァンドーム(Must Vendome)
パリのヴァンドーム広場からインスピレーションを受けた、丸型の薄型ケースと特徴的なラグ(馬車のシャフト)が美しい「マスト ヴァンドーム」。マストタンク同様にヴェルメイユケースが採用され、マストタンクよりも柔らかくクラシカルな雰囲気を好む女性に絶大な人気を誇ります。
一生モノとして愛せるヴィンテージ・ジュエリー名品
時計だけでなく、ジュエリー(リングやブレスレット等)のヴィンテージも非常に魅力的です。現行品と同じ名前のコレクションでも、年代によってディテールが少し異なる「ヴィンテージならではの味わい」が存在します。
1. ヴィンテージ トリニティ(Trinity)
1924年に誕生し、約100年の歴史を持つ「トリニティ」。イエロー、ホワイト、ピンクの3色のゴールドが絡み合うデザインはあまりにも有名です。現行品も素晴らしいですが、1980年代などのヴィンテージ品のなかには、リングの内側に現行品とは異なる「Cartier Paris」の刻印があったり、フランスのホールマーク(純度証明の刻印)がはっきりと残っているものがあり、ヴィンテージコレクターの心をくすぐります。
2. ラブ コレクション(LOVE)
1969年代にデザインされ、「永遠の愛」を象徴するビスモチーフが特徴のラブリングやラブブレス。ブレスレットはもともと「自分一人では外せない(専用のスクリュードライバーが必要)」というロマンチックなコンセプトで作られました。ヴィンテージのモデルは、経年変化によってイエローゴールドが落ち着いた深みのある色合いに変化しており、肌馴染みの良さが格段に増しています。
3. パンテール(Panthère)ジュエリー
カルティエの象徴である豹(パンテール)のコレクション。時計だけでなく、ゴールドのビーズが連なるデザインのブレスレットやピアスなど、80年代〜90年代のバブル期に作られたパンテールジュエリーは、非常に華やかで重厚な作りが特徴です。現代のシンプルな装いに、あえてヴィンテージのパンテールを一点投入するスタイルが人気を集めています。
失敗しない!ヴィンテージ・カルティエの選び方と見極め方
魅力的なヴィンテージですが、古いものだからこそ購入時にはいくつか注意すべきポイントがあります。
- 信頼できるショップで購入する: カルティエは人気が高いため、残念ながら偽物も多く流通しています。独自で鑑定士を抱えているアンティーク専門店やや、保証制度が整っている有名なヴィンテージショップで購入することが最も重要です。
- ヴェルメイユの剥がれに注意(時計の場合): マストシリーズの時計などを購入する際は、ケースの角や裏蓋の「金メッキ(ヴェルメイユ)の剥がれ」がないか、または許容範囲かをしっかり確認しましょう。
- 刻印・ホールマークの確認(ジュエリーの場合): ジュエリーの場合は、カルティエのシグネチャー刻印や金属の純度を示すホールマーク、シリアルナンバーがしっかり残っているかどうかが価値を左右します。
まとめ:時代を超越するカルティエの美学
現行品にはない深い色合い、多彩な文字盤バリエーション、そして「時を経てきたからこそのオーラ」を纏うカルティエのヴィンテージアクセサリー。
傷の一つ一つさえも歴史として愛せるような、あなただけの特別な「一生モノ(マスト ドゥ カルティエ)」を、ぜひ見つけてみてください。


